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『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』 1月度

22.05.20

シリーズ35万部突破した“仕事の教科書”の第二弾“生き方の教科書”
が発刊されました。帯書きには「日本人の心を熱く燃やす」とありますが、
そもそも日本人の心とは何なのでしょうか?
京都大学大学院教授 藤井聡さんは、
「いま日本人に足りないは義憤だと思います。
国民一人ひとりの不正義への義憤こそが、
日本が亡国の道から再び蘇るための最大の力になるのです」
とおっしゃっています。
一人の日本人として、今何を考え、何をなすべきなのかを考えながら
読ませて頂いた私の心に響いた
「日本心の心を熱く燃やす」お話しをご紹介させて頂きます。




1.まず自分の中の感情に打ち克て
山崎直子 宇宙飛行士

訓練しても実際に宇宙に行ける保証は全くないわけです。ゴールの見えない中でずっとマラソンを
続けているような日々でしたね。それでも最初の数年はまだよかったのですが、これが4年、5年と
経ってくると、本当に宇宙に行けるのだろうか、訓練を続けていて意味があるのだろうか、
という不安が頭をもたげてくるようになりました。

特に4年目の2003年、スペースシャトル・コロンビア号が空中分解をする大きな事故が起きて、
宇宙計画自体が不透明になってしまったんです。この事故では一緒に訓練をしていた仲間7人が
亡くなったこともあって、しばらくは呆然としていました。私は長女を出産した後で育児休暇中でしたが、
保育園入園も決まってそろそろ訓練に復帰しようか、と思っていた矢先の大事故でした。

アメリカの宇宙船が飛べないということで訓練計画も大きく変わりましてね。
私は長女を日本に残して急遽ロシアに行き、さらにアメリカに移って訓練を続けたんです。
飛べるのかな、飛べないのかなと思いながら、それでも訓練だけは重ねていきました。
このように自分の力だけではどうしようもない壁に直面した時に励まされ、支えになったのは、
高校の担任の小田川恭子先生が紹介してくださったある言葉だったんです。
20世紀のアメリカの神学者ラインホールド・ニーバーが1943年、小さな教会で説教した時の祈りの言葉です。

神よ、変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。


高校時代、この言葉をたまたま日記に書き残していて、大人になってそれを読み返した時、大きな力をもらいました。
いま自分ができること、変えられることが何かあるはずで、それをやっていくことで一歩一歩道に近づいていけるのかなと。
実際、私は「おまえたちが訓練するスペースシャトルは飛ばないよ」と何度も言われてきました。しかし、飛べるチャンスが
1%でもあるかもしれないと信じてやってきたんです。



ロシアでサバイバル訓練の時などによく言われたのですが、何かをやり続けようと思う場合、一番ネックになるのは
自分の感情だというんです。壁にぶつかって「嫌だ」「できるわけない」と思っても、いざやってみたら結構やり遂げられたりする。
だから大切なのはまず自分の中の感情に打ち克つことだと。

とはいっても、規模が大きくなればなるほど一人でやれることは限られていますから、次にはやはり幅広い意味で
協調することが大事だと思います。時に競争もあり、切磋琢磨もありなのですが、一つの目標が見えてきた時には
お互いに協調することでしょうね。

2年前より名古屋大学のベンチャー企業の依頼を受け
「血管内皮機能」の測定&改善装置の開発を進めております。
最初は治療機器の経験しかない当社が、測定機器の製造のお役に立てるのかと迷いましたが、
当社が培ってきたMCC(マルチカフケア)関連のノウハウを血管内皮機能の改善に生かせる事がわかり、
チャレンジさせて頂くことになりました。



2.会社がおかしくなる六つの要因
永守重信 日本電産社長

日本電産本社の一階奥に設置しているプレハブ建屋は、創業当時に作業場として使っていたものですが、
あれをご覧になった方の反応は半分半分に分かれるのです。涙を流さんばかりに感動される方と、
本社ビルの一番いい場所になんであんな汚いものを置くのだという方がいらっしゃって、おもしろいですよ。

私としては、創業期のあの厳しい時期を乗り越えてきたからこそ、ここまでこられたわけでね。
辛い時にそこへ行くと、あの時の苦しさに比べたらこんなものは大したことはないなと思い直して、
また元気を取り戻せるのです。

新入社員にも入社時に必ず見せますし、落ち込んでいる幹部がいたら、ちょっと見てこいと言うのです。
一番怖いのは、後から入ってくる幹部が昔の苦労を経験していないために、一流企業に入ってきたような感覚で
振る舞うことです。そういう人たちには口で言っても伝わりませんから、プレハブ建屋を見せるのが一番いいのですよ。

そこは建物だけではなしに、当初からの記録もたくさん残っていて、私自身が現場で懸命に仕事をする様子も
残っている。それを見ると皆ハッとするのです。逆に、それを見て感激しない人は、最初から採用しないほうがいいです。


やっぱり考え方が一致していないと今後のグローバルな戦いは勝てません。ただ頭がいいとか、経験が豊富だとか
いうだけではダメで、本当にその会社が好きだという人が集まってこないとしらけてしまいますね。

だから私は採用担当者に言うのです。最近は一流大学からどんどん入社してくるようになったけれども気をつけろよと。
一番大事なのは、日本電産という会社が好きだという人間、よく働くこの会社で自分も一緒に頑張りたいという人間が
集まってくることだと。一所懸命働くところから始まった会社なのに、ただ有名で給料も高いから入りたいとか、
役員として入ってきて威張り散らすような気持ちでやられると、会社なんてあっという間に沈んでいくのですね。

だいたい会社がおかしくなる要因の六つを挙げよと言われたら、一番はマンネリでしょう。
それから油断、そして驕り。人間はすぐこういう躓きをするのですが、この段階はまだ元に戻せるのです。
その次が妥協。震災がきたのだからしょうがない、円高だからしょうがないと妥協する。
これはもうさらに落ち込みますね。
次に怠慢です。頑張っても怠けても給料は一緒じゃないかとかね。
そして最後は諦めです。そんなこと言ったってできません、という考えがはびこってきた時は末期症状ですね。
最初の三つはそんな大敵ではないけれども、後の三つに陥ったらもう取り返しがつきません。

当社の企業理念「心地よいだけ、その場かぎりではなく根本治療につながる治療器
及び健康グッズの開発を目指す」に共鳴する社員と共に種々の製品を開発してまいりました。
今後も、マンネリ、油断、驕り、妥協、怠慢、諦めを自戒のキーワードとして
企業理念を守っていきたいと思います。




3.うさぎはなぜかめに負けたのか
四代目 三遊亭圓歌 落語家

私が、笑いを交えながら人生や経営、子育てなどについて、私なりの考えを盛り込んだ、いまの落語や講演の
スタイルを確立したきっかけを与えてもらったのは、遠縁に当たるジュポン化粧品本舗の故養田実社長です。
養田社長は若いころ、柳亭痴楽師匠に弟子入りし、落語家を目指した経歴の持ち主だけに、私の気持ちを
よく理解してもらい、「これからの時代、落語だけで食べていくのは難しいから、半分は落語、半分は講演にして
企業を回ってみたらどうか」と、いろいろな異業種交流会などに連れていってくださったのです。

私はここで学んだ多くの経営者の言葉や、本で読んだ中村天風、森信三、石川洋といった先哲の言葉にヒントを
得ながら、それをどう落語家の自分なりに消化し、人々を笑わせ、元気づけていけるかということに知恵を絞りました。
古典落語を基礎にこれらを取り入れた私の芸風の確立は、すなわち私の人生観の確立でもありました。

養田社長から教わった忘れられない話があります。私が真打ちになったのは昭和62年5月。
林家こぶ平さんと一緒の昇進でした。真打ちが発表されると、二人がいる部屋に一斉にマスコミが押し寄せたのです。
ところが、フラッシュを浴びたのはこぶ平さんだけ。数メートル横に私がいたのですが、
どこの社も見向いてもくれませんでした。考えてみれば、こぶ平さんは正蔵、三平と続いたサラブレッド、
一方の私は、いわば落語界には何の縁もない田舎生まれ、田舎育ちの駄馬でした。

私はくやしくて涙を抑えられなくなって走って外に飛び出し、電車に乗りました。
そこに偶然にも養田社長がいたのです。「歌さん、浮かぬ顔してどうしたんだ」と聞かれ、私は、理由を話しました。
すると養田社長はこう切り出したのです。
「うさぎとかめの童話があるだろう。うさぎは、どうしてのろまなかめに負けたのか。言ってごらん」
私は答えました。「うさぎにはいつでも勝てると油断があったのです。人生は油断をしてはいけないという戒めです」と。

養田社長は「本当にそう思っていたのか。零点の答えだ」と語気を強めて、静かにこのように話したのです。
「かめにとって相手はうさぎでもライオンでも何でもよかったはずだ。なぜならかめは一遍も相手を見ていないんだよ。
かめは旗の立っている頂上、つまり人生の目標だけを見つめて歩き続けた。
一方のうさぎはどうだ、たえずかめのことばかり気にして、大切な人生の目標をたった一度も考えることを
しなかったんだよ。君の人生目標は、こぶ平君ではないはずだ。賢いかめになって歩き続けなさい」

さらに養田社長は言葉を続けました。「どんな急な坂道があっても止まってはだめだよ。
苦しいときにはああ何と有り難い急な坂道なんだ、この坂道は俺を鍛えてくれているではないか、と感謝しなさい。
有り難いというのは難が有るから有り難いんだよ」と。私は社長のこの一言で迷いが吹っ切れたのです。
そして、自分の人生の目標に向かって黙々と歩き続けよう、と思ったのです。


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『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』致知出版社より



私もうさぎの油断とかめの最後まで諦めない心が勝敗を決めたと思っておりましたから、目からウロコでした。
製品開発の際についつい他社の製品と比較してしまいますが、当社の企業理念を忘れることなく、急な坂道にも決して止まることなく歩み続けて行きたいと思います。