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1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書 4月度

21.10.25

「人間力と仕事力が身につく
仕事ができる人はここが違う・・・・・

どのような仕事に係わらず
仕事ができる人は何かが違う・・・・・
その何かの一つ「人間力」を磨くため
本書の365人のお話しをご紹介させて頂いております。


人生で真剣勝負した人の言葉は、詩人の言葉のように光る



1. 仕事は祈りである 平澤興 京都大学元総長

賢いと燃ゆることができないですね。燃ゆるためには愚かさがいる。愚かさは力です。
それは、私は四十年間、大学にいて、そう思います。
だから、優等生もいいけどね。優等生のやり得る仕事は大抵、型が決まっている。
本当に世の中に大きな光を与えるのは、必ずしも、いわゆる優等生だけではない。
部長とか課長とか、そんなところにさっとなるのは優等生が多いようですが、
日本の将来に大きな変化を与えて、自ら進むべき道を断固として守っていくというようなのは、
むしろ優等生ではない方に多いくらいです。
だから、やっぱり、ある意味では愚かさね。損とか得なんていうことは考えないで、
ひたむきに行く人ですね。

私の友達の青柳安誠。京大の外科部医で、外科では日本一の人です。
この人が言っていましたが、仕事は祈りである、と。執刀する瞬間、祈るんですね。
最善を尽くすだけじゃ、まだ足らないんで、どうぞ、この手術が上手くいきますようにと、祈る。
これはやっぱり、すごいと思います。
この男が、「器用な人では外科の名人にはなれん」と言っていました。
それはね、いろんな外科の方式がある。長い歴史を通してね。人によっては、
血管の走り方が違ったり、神経の走り方が違ったりしてる人がある。
そういう場合までも考えて、間違いを起こさないようにというのが、長い伝統の手術だそうです。
ところが、器用な人がやるとね、目先だけでさっとやる。一見誠に器用だが、
時に思わぬ間違いを起こす。何分間で盲腸の手術をしたなんていうのは、これは愚かなことで、
そういう医者はもう本当の意味で一人前の医者ではないと思う。
誰がやってもできるようなことにも、なお祈りを込めて、百やれば百、絶対に間違いを起こさん
という、これが真の名人だ、と。
私もそうだと思います。
新聞、雑誌などをみてると、世の中の人は悪人ばかりのような気がするが、
にも拘わらず、世の中が何となしに前へ行っているのは、案外、世間でいうほどは悪人ばかりでなく、
いい人が多いということじゃないかと思ったりしています。普通、みえないところで、
いいことをしている人が多いのですね。
だから、社会はいわゆる有名人に支えられておるよりも、むしろ無名のそういう人たちに
支えられておるのではないでしょうか。

「日本一」と言われるような外科医が執刀する瞬間、祈るんですね。
最善を尽くすのは当たり前、誰にでも出来るような手術でも、
なお祈りを込めて、絶対に間違いを起さないという。
これが真の名人なのですね!






2.運気を上げるための四つのポイント 佐々木洋 花巻東高校野球部監督

私はずっと「おまえは運がいい、運がいい」と言われ続けているんですね。
「菊池雄星を獲得できて運がいい」とか「棚ボタで選抜に出て準優勝した」とか言われてですね、
前は「俺だって努力しているんだ」とムッとしていました。
でも最近、運というのは、運をつかむために自らをコントロールしている人のもとにしか
来ないんだなと分かって、素直に喜べるようになりました。

では自分の何をコントロールしているかというと、一つは言葉です。
二つ目は一緒にいる人。親は選べませんが、友人は選べますよね。
あるいは自分の意思で誰にでも会いに行って刺激を受けることができるわけです。
三つ目が表情、態度、姿勢、身だしなみ。
二つ目にも通じますが、チャラチャラした格好をしている子はやはりそういう友達と一緒にいます。
また野球でも逆転されてシュンとしたり、点を入れて大騒ぎしているチームには
あまり脅威を感じないんですね。逆に負けている時に笑顔でファイティングポーズとかが出る
チームって怖いなと思う。特に監督が不安になったりすると一瞬でチーム全体に伝染しますから、
表情、態度のコントロールは常に心掛けています。
そして最後はやっぱり感謝と謙虚さですね。とにかく敵をつくらず、味方をつくることが
運を呼び込んでくると思います。

例えば、うちのチームは宿泊したホテルから帰る時はすごくきれいに掃除させるんです。
甲子園の時もホテルの方が、
「花巻東の使った後はベッドメイクが要らないくらいきれいにしてくれた」
と喜ばれまして、ホテルの人たちが球場までわざわざ応援に来てくれたりしたんです。
彼(菊池)は例えばゴミが落ちているのを見ると「神様が自分を試している」と思うと
話していました。そうやって、いつも神様が自分を見ていると思っているんです。
それから私が前にうちの選手たちに、「成功している会社の社長さんの家を探っていったら
一つだけ共通項があって、どの家もトイレの蓋が閉まっていたらしい」
と話したら、どこに行っても蓋を閉めて回っています。
態度が横柄だったり、悪口ばっかり言っているチームは人がどんどん遠ざかっていきます。
謙虚にしていると味方が増え、その人たちに感謝の気持ちを伝えると、
さらに応援してくれるようになる。
何をやってもツイている人と、何をやっても空回りする人の差はこの四つではないかと思っています。





運には色々ありますが、「人の運」が一番大切ではないでしょうか。
「人生はどのような人と出逢うかで決まる」と言われています。
佐々木監督の実体験に基づいた、運気が上がるポイントは四つですが、
それらのベースはやはり「感謝」と「謙虚」でした。




3.「信用」は使ってはならない 黒田暲之助 コクヨ会長

人の信を得るということ、つまり信用を築き上げるということは
一朝一夕にできないことは皆さんよくご存じです。
創業して間もない企業や中小企業は、何とかして信用のある企業といわれるように
なりたいと、トップから一般社員まで大変な努力を続けておられると思います。
こうして真剣な努力を続けているとその成果が上がってきて、
信用のある会社だといわれるようになります。

問題はその後です。ある程度信用ができてくると、それを使い始める。
会社や社員の姿勢がだんだん高くなってくるわけです。
つまり「君、それくらいのことは何とかできんのか」ということで、
無理を言うことが起こってくる。こちらが無理を言わなくても、先方から
「支払いはそんな早くしてもらわなくても」と言ってくれるようになる。
納期が多少無理でも、徹夜してでも間に合わせてくれるようになる。
しかしそれに甘えて信用を使い出すと、長い年月をかけ、血のにじむような
努力によって蓄積してきた信用が取り崩されてしまう。
先代はこのことを戒めて、次のように言いました。
「信用は世間からもらった切符や。十枚あっても、一枚使えば九枚になり、
また一枚使えば八枚、といった具合に減ってしまう。気を許すと、あっという間に
信用がなくなってしまう。特に、“上が行えば下これを習う”で、
上に立つ者ほど注意しなければいけない」と。
金は使ったら減るのは分かるが、信用というのは目に見えないだけに
減ることが分からない。

先代はさらに、
「信用は使ってはならない、使わなければどんどん増えていく」
とも言っていました。
使えば減るというのは当たり前のことなのにできない。
事業をやるからにはどなたも最初は分かっていると思います。
要はそれを続けるかどうかです。
創業者の時代は見事にできていたものが、年を経てくると信用よりも
銭金のほうが大事、あるいは建物が立派なほうが大事、という具合に
価値そのものが変わってくる。
幸せなことに私どもは大事なことが変わらなかった。何も人さまの前へ出て
話すようなことではないんです。もう本当に三度三度のおまんま食べるぐらいの
当たり前のことばっかりなんですが、当たり前のことがなかなか続かないんですね。



信用は使ってはならない」使えば減ってしまい、気を許すとあっという間に信用が無くなってしまう。
お金は使えば減るのは分かるが、信用は目に見えないだけに減る事が分からない。
「信用を使わない」ことを心に刻み込みたいと思います。



『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
藤尾秀昭 監:致知出版社より