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事実はなぜ人の意見を変えられないのか「メルマガ月刊三橋」より

21.06.09

この本は、イギリスの神経学者ターリ・シャーロットによって出版された本です。

本の帯書きには

脳科学が解き明かす人の動かし方の極意
人はいかにして他人に影響を与え、他人から影響を受けているのか。
名門大学の認知神経科学者が教える、とっておきの人の動かし方。

タイムズ・フォーブスほか、多数のメディアで年間ベストブックにノミネート。
イギリス心理学会賞受賞。





なぜこの本を紹介したのか?
それは、この本に書かれている認知神経科学の研究結果が、あなたが常に抱いている
疑問を解消できると思ったからです。

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つまり、なぜ、三橋貴明氏や藤井聡先生らが、
データに基づいた正しい情報を発信しても、
世の中の間違った考えを改めることができないのか・・・
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というモヤモヤとした疑問を解消する手助けになると思ったからです。

上記の本では、
「客観的な事実や数字は、他人の考えを変える武器にはならない」
という認知神経学の研究結果が紹介されています。

つまり、私たちは
「事実に基づく正しい情報さえ発信していれば、世の中の誤りを改める事ができる・・・」
と思っているのに対し、
「現実はそう簡単には行かない」ようなのです。

この事実は、あなたを戸惑わせるかもしれません。
なぜなら、あなた自身は、
「事実に基づいた理論的に考えた結果、国の借金といった間違った考えから抜け出し、
正しい考えを手にした」
経験を持たれているからです。

しかし、どうやら、そのようなことができるのは、
強い知性を持つ一部の方のみのようです。

なぜなら、一般的に人間の認知機能には、
強いバイアスがかかっており、正しい情報に触れたとしても、素直にそれを受け入れる
ことができない傾向にあるからです。ときには非常に賢い方でさえ、このアドバイスに
囚われることがあります。

私もそのように感じることが
多々ありましたので、早速読ませていただきました。




本の内容は、「はじめに」に始まり、
1.事実で人を説得できるか?(事前の信念)
・データでは力不足 ・賛成意見しか見えない
・グーグルはいつもあなたの味方・賢い人ほど情報を歪める
・なぜこうなってしまったのか・投資と信念・新しい種をまこう

2.ルナティックな計画を承認させるには(感情)
・同期する脳・感情という名の指揮者・カップリング
・気持ちを一つに・インターネットの扁桃体・あなたの心は唯一無二

3.快楽で動かし、恐怖で凍りつかせる(インセンティブ)
・手洗いと電光掲示板・二人の主権者・接近の法則と回避の法則
・進むべきか、止まるべきか・期待が行動を導く・「死んだふり」
・いますぐちょうだい・未来はあてにならない・脳の自動早送り機能

4.権限を与えて人を動かす(主体性)
・恐怖VS事実・コントロールを奪われて・納税はなぜ苦痛なのか?
・「選ぶこと」を選ぶ・選択の代価・健康で幸福な老人
・自分で刈った芝生は青い

5.相手が本当にしりがっていること(好奇心)
・ギャップを埋める・情報は気持ちいい・良い知らせ、悪い知らせ
・知らぬが仏?・頭の中の巨大な計算機・知らずにいることの代償
・エゴサーチが怖い

6.ストレスは判断にどんな影響を与えるか?(心の状態)
・プレッシャーが招く悲観主義・弱小チームはなぜ安全策をとるのか?
・リスクの冒し方・扁桃体を手なづける・晴れの日とギャンブル

7.赤ちゃんはスマホがお好き(他人 その1)
・生まれた日から始まる社会的学習・シンク・ディファレント?
・メルローを注文した奴がいたら俺は帰る!・アマゾンレビューを操作する
・他人の意見と記憶の改変・最初に飛び込むのは誰?・心の理論

8.「みんなの意見」は本当にすごい?(他人 その2)
・多いほど正しくなる・人間体温計・わが道を行くことの難しさ
・個人の中の賢い群衆・雪だるま式に膨らむバイアス
・平等バイアスにご用心・びっくりするほど人気の票

9.影響力の未来
・二つの脳をつなぐワイヤ・私の思いがあなたを動かす
・私は私の脳である

人間は情報に対して公平な対応をするようには作られてない。
数字や統計は真実を明らかにするうえで必要な素晴らしい道具だが、
人の信念を変えるには不十分だし、行動を促す力はほぼ皆無と言っていい。

このように、人間は事実と無関係に、自分が直観的にイメージしやすい考えに
引張られてしまう傾向があるのです。


たしかに「国の借金」というのは
我々の身近な「家計の借金」と重ね合わせ、イメージしやすいために、
人々に信じ込まれているのかもしれません。
「メルマガ月刊三橋」より


この「国の借金」を「コロナ渦」置きかえて冷静に2019年と2020年の
死者の数の比較、また死因別の比較等を分析してみますと、メディアの偏った情報とは
違う側面が見えてくるかも知れません。

最後に本書の帯書きの裏面の言葉をお読み下さい。

「銃規制などの議論を呼ぶ話題では、明らかな事実を提示することは、かえって逆効果に
なるという。本書が指摘するとおり、頭脳が優れている人ほど、自説に合わない情報を
自分の都合よく解釈してしまうからだ」
(ニューヨーク・タイムズ)

「他人を説得するための優れた方法だと思っていたものは、いまや間違いであることが
明らかになった。その誤りを正し、役に立つ助言を詰め込んだ本書は、あなたの人生すら
変えてくれるかもしれない」
(キャス・サンスティーン「実践行動経済学」著者)