1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書 2月度
21.03.05

それぞれの人にそれぞれのドラマがあり、熱い言葉があった
◦自らの歩みを一篇の詩のような言葉で語る人、
◦深い人生の哲理をやさしい言葉で語る人、
◦物語のような人生をひたむきに生きた人、
◦悲しみの底に光るものを見つけた人、
◦仕事を通じて人生の秘訣、普遍の真理をつかんだ人、
◦人との出会いで運命を大きく変えた人、
◦与えられた環境の中で運命を呪わず精一杯、力一杯、命一杯生きた人、
-道を真剣に生きた人々が語る言葉は、一様にいぶし銀のような
光沢を放ち、色とりどりであった。 -----あとがきより-----
1.松井秀喜の才能を花開かせたもの 山下 智茂 星稜高等学校副校長・野球部監督
高校時代の松井秀喜選手のことで今でも忘れられないのが、
入学した日、「おめでとう」と言って握手した時のことです。手が象の皮膚のように
硬くひび割れていたのです。ちょっとやそっとの素振りではああはなりません。
こいつ、どんだけ練習してんのや、とこっちが驚くほどでした。
才能もあったけど、才能を生かすための努力を怠りませんでした。
それにご両親もしっかりした方々で、三年間で松井の両親と話したのは
三回しかないんです。
まず入学に際して「よろしくお願いします。」
ドラフトの時、「先生、相談に乗ってやってください。」
そして卒業の時、「三年間どうもありがとうございました。」の三回です。
野球部の中には「監督さん、なぜうちの子を試合で使ってくれないの?
「なんでうちの子ばかり叱られるの?」と言ってこられる親御さんもいますが、
松井の両親は百%息子を信じ、学校を信じてくださっていたから、
一切口出しはなさいませんでした。
彼は高校時代、電車で一時間かかる街から通っていたのですが、行き帰りで
本を読むように勧めました。最初は野球が上手くなってほしいから
野球の本を読ませていましたが、次第に『宮本武蔵』や『徳川家康』などの
歴史小説を薦め、最後は中国の歴史書とか哲学書を読ませました。
プラトンとか、アリストテレスとか。
本を読めば知識が広がるだけじゃなくて、集中力が高まるんです。
それは打席に立って発揮する集中力に繋がるんですね。
それに彼にはただのホームランバッターではなく、王・長嶋に次ぐ本物のスターに
なってほしかったから、「日本一のバッターを目指すなら心も日本一になれ」と
いつも言っていました。
彼は最後の夏の甲子園で話題になったでしょう。実はあの前年、高校選抜で一緒に
台湾に行ったんです。現地の審判だから当然台湾びいきで、顔の前を通ったような
球もストライクにする。松井は頭にきて、三振するとバットを地面に叩きつけたんです。
その時「おまえは日の丸をつけて来ているんだ。石川代表じゃない。
球界最高のレベルを目指すなら、知徳体の揃った選手になれ」と懇々と話をしました。
彼がいた三年間は甲子園に連続出場できたし、最後の国体では優勝もしました。
スケールの大きな夢を追いかけた楽しい三年間でした。
しっかりとしたご両親の元に、素直で人一倍努力するすぐれた資質を
もって生まれた松井秀喜選手が、名伯楽と出合って、「知・徳・体」と
三拍子揃った選手へと才能を花開かせたのですね、
「一芸に秀でるものは多芸に通ず」という言葉にもあります。
もって生まれた松井秀喜選手が、名伯楽と出合って、「知・徳・体」と
三拍子揃った選手へと才能を花開かせたのですね、
「一芸に秀でるものは多芸に通ず」という言葉にもあります。
2.よいことの後に悪いことが起こる三つの理由 浅見帆帆子 作家・エッセイスト
最近よく「浅見さんって全然マイナスのことを考えないんですか」と聞かれるのですが、
私も人間なので「こうなったらどうしよう」と思うことはあります。感情がマイナスに振れた時、
プラスに持っていく工夫を自分ですることが大事だと思うんです。
尊敬する人に会いに行くとか、元気になる音楽を聴くとか、好きな映画を見るとか、
何でもいいんです。強運な人は共通してみんな平常心ですが、それはマイナス感情を
抱かないのではなく、自分で自分の心をこまめにケアして、プラスにする努力をしていると思います。
これは本の中にも書いたのですが、いいことが続いた後には必ず悪いことがやってくると
思っている人って結構多いんですよね。でも、運は上がったら下がるというものでは
ありません。もし、いいことの後に悪いことが起こるとしたら、たぶん次の三つの理由ですね。
・次は悪いことが起こるのではないかと自分で思っている(その強い意識が引き寄せている)
・よいことが起こったのは、すべて自分の力だと思って感謝が足りない
・何かを犠牲にして我慢したからこそ、上手くいったと思っている
(そう思い込んでいると、犠牲がなくては上手くいかない人生になる)
高いレベルで生きている人ほど「幸せ感度」が高いんですよね。何でもありがたいと
感じられるからこそ、小さな危険信号にもすぐに気がついて、「これを通して自分に
何かを教えてくれているんだ。こんなに早く気づけてよかった」と思えるんです。
(中略)
私は、「運」に関する本を多く出していますが、その運とは宝くじに当たるとか、
明日白馬に乗った王子様が現れるとか、そういうことではないんですね。
運がよくなるとは、別な言葉で言えば「どんな状況でも幸せを感じられる」という
ことだと思います。一人ひとりがそれぞれの環境で周りの人を幸せにしていくことが、
人間として生まれてきた使命だと思っています。使命は有名人とか選ばれた人だけでは
なく誰もにあるもので、いまのその人の環境ですぐにできることなんですね。
まずはあなたがワクワクと満たされて生きる。その姿を見て、周囲の人が勝手に
「あの人を見ていると自分も頑張ろうと思う」とか「一緒にいると楽しい」と思っていると
したら、それもその人の器でできる立派な社会貢献だと思うんです。社会に大きな影響力を
与える人だけに使命や意味があるのではない。
だから周囲を幸せにしたいと思ったら、まずは自分が幸せに生きること。結果として一人の
人間が幸せになると、そのパワーが家族を幸せにし、地域を幸せにし、
国家を幸せにし、そして世界を幸せにする。すべての発展繁栄は一人から始まる。
私はそう思っています。
皆様は感情がマイナスに振れた時は、どのように対処されていますか?
私は敬愛する人の言葉によって、マイナスのイメージをコントロールする
事が多いです。そして感謝する事の多さを思い起こしながら
「ありがとうございます、ありがとうございます・・・・・」
と何度も口ずさみますと、不思議と気持ちが前向きになってきます。
私は敬愛する人の言葉によって、マイナスのイメージをコントロールする
事が多いです。そして感謝する事の多さを思い起こしながら
「ありがとうございます、ありがとうございます・・・・・」
と何度も口ずさみますと、不思議と気持ちが前向きになってきます。
3.与うるは受くるより幸いなり コシノジュンコ デザイナー
うちの家族は教会に通っていますが、母が最期に遺した言葉は
『聖書』の「与うるは受くるより幸いなり」でした。
母は心筋梗塞で入院して、その後、脳梗塞にもなって言葉が喋れなくなり、
2006年に93歳で亡くなりましたが、病気になる一か月ほど前に雑誌の
インタビューを受けていたの。発売日は聞いていたので、買いに行って
頁を開いてみたら、タイトルは「娘への遺言」。
「与うるは受くるより幸いなり」の言葉を「皆にしてあげたほうが、
もらうよりよっぽどええで」とすごい関西弁で語っていたんです。
それも掲載された写真の母はニコニコ笑っていました。
だから、人に何かをしてあげることは、遠く回って、結局は自分の
ためになる。自分のためにやるのではなく、人のためにやると
最終的には自分に返ってくるよ、ということを母は最期に私に
伝えたかったんだと思います。
実際、いま私のブティックでは、ニューヨークでとてもお世話になった
元国連大使の息子さんの個展を開催しているんです。そうしたら、
その元国連大使の方とお付き合いがあった人たちがたくさん来てくれて、
息子さんの絵を買ってくれたり、私にもいろいろ出逢いがありました。
やはり、母の遺言通りだな、と。
私の好きな言葉に「かきくけこ」というのがありますが、
「か」は「感謝」
「き」は「希望」
「く」は「くよくよするな」
「け」は「健康」
最後の「こ」は「行動」
この五つって、仕事でも人生でも重要じゃないかと思いますね。
自分に起こるすべてに感謝して、
常に夢と希望を忘れずに
反省はしてもくよくよと後悔はせず
心身の健康維持に心掛けて
使命感を持って生きられたら最高ですね!
そのエネルギーの源泉は
「利他の心」
「与うるは受くるより幸いなり」です。
常に夢と希望を忘れずに
反省はしてもくよくよと後悔はせず
心身の健康維持に心掛けて
使命感を持って生きられたら最高ですね!
そのエネルギーの源泉は
「利他の心」
「与うるは受くるより幸いなり」です。
『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
藤尾秀昭 監: 致知出版社 より