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1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書 1月度

21.01.28

本書の帯書きには
「人間力と仕事力が身につく
仕事ができる人はここが違う」とありますが・・・
何が違うのでしょうか?


当社では
ソーマダインの発売を契機として30年以上に渡って
各種のセミナー・講演会などを開催させていただいております。
しかし、知識やテクニック、そして経験も大切ですが、
治療家に限らずひとつの道を極めるためには、それだけでは
越えられない大きな”何かが”あることに気づかされました。
そして、その何かの一つが「人間力」ではないかと思います。
愛読しております「致知」の今日の言葉でも、多くの方々が
最も大切なのは「人間力」と口を揃えて言われています。

当社でも数年前からお客様の要望もあり「人間力向上」に関する
セミナーを企画し、また私が見聞きした事を「本日の視点」でも
紹介させていただいておりますが、本年度から本書に紹介されている
365人の方々のお話しの中から、私が特に心に響いた「人間力向上」に
つながると思うお話をご紹介させていただきたいと思います。

帯書の裏面には
繰り返し味わいたくなる感動がある。
繰り返し口ずさみたくなる言葉がある・・・とあります。

もっと多くのお話をお知りになりたい方には是非全話をお読みに
なられることを心よりお勧めいたします。




人生で真剣勝負した人の言葉は、詩人の言葉のように光る



1.知恵の蔵をひらく 稲盛和夫 京セラ名誉会長

私は技術者として、また経営者として長く「ものづくり」に携わる中で、
偉大な存在を実感し、敬虔な思いを新たにすることが少なくありませんでした。
大きな叡知に触れた思いがして、それに導かれるように、
様々な新製品開発に成功し、事業を成長発展させ、
さらには充実した人生を歩んできたように思うのです。

このことを、私は次のように考えています。
それは偶然でもなければ、私の才能がもたらした必然でもない。
この宇宙のどこかに、「知恵の蔵(真理の蔵)」ともいうべき場所があって、
私は自分でも気がつかないうちに、その蔵に蓄えられた「叡知」を新しい
発想やひらめきとして、そのつど引き出してきた。
汲めども尽きない「叡知の井戸」、それは宇宙、または神が蔵している
普遍の真理のようなもので、その叡知を授けられたことで、人類は技術を進歩させ
文明を発達させることができた。私自身も又、必死になって研究に打ち込んでいる時に、
その叡知の一端に触れることで、画期的な新材料や新製品を世に送り出すことができた
・・・そのように思えてならないのです。

私は「京都賞」の授賞式のときなどに、世界の知性ともいうべき、
各分野を代表する研究者と接することがあります。その時、彼らが一様に、
画期的な発明発見に至るプロセスで、創造的なひらめき(インスピレーション)を、
あたかも神の啓示のごとく受けた瞬間があることを知り、驚くのです。

彼らが言うには、「創造」の瞬間とは、人知れず努力を重ねている研究生活のさなかに、
ふとした休息を取った瞬間であったり、時には就寝時の夢の中であったりするそうです。
そのような時に、「知恵の蔵」の扉がひらき、ヒントが与えられるというのです。
エジソンが電気通信の分野で、画期的な発明発見を続けることができたのも、
まさに人並外れた凄まじい研鑽を重ねた結果、「知恵の蔵」から人より多く
インスピレーションを授けられたということではなかったでしょうか。
人類に新しい地平をひらいた偉大な先人たちの功績を顧みる時、彼らは「知恵の蔵」
からもたらされた叡知を創造力の源として、神業のごとき高度な技術を我がものとして、
文明を発展させてきたのだと、私には思えてならないのです。


創造的なひらめき(インスピレーション)はどのような時に
知恵の蔵をひらいてくれるのでしょうか?
稲盛さんが言われる「利他」の心があるような気がします。




2.幸田露伴が発見した成功者の法則 渡部昇一 上智大学名誉教授

幸田露伴は人生における運を大切に考えています。
運というと他に依存した安易で卑俗な態度のように思われがちです。
だが、露伴の言う運はそんなものではありません。その逆です。
露伴は人生における成功者と失敗者を観察し、一つの法則を発見します。
露伴は言います。
「大きな成功を遂げた人は、失敗を人のせいにするのではなくじぶんのせいにするという
傾向が強い」
物事が上手くいかなかったり失敗してしまった時、ひとのせいにすれば自分は楽です。
あいつがこうしたかったから上手くいかなかったのだ・・・・・あれがこうなっていなかったから
失敗したのだ・・・・・物事をこのように捉えていれば自分が傷つくことはありません。
悪いのは他であって自分ではないのだから、気楽なものです。
だが、こういう態度では、物事はそこで終わってしまって、そこから得たり
学んだりするものは何もありません。
失敗や不運の因を自分に引き寄せて捉える人は辛い思いをするし、苦しみもします。
しかし同時に、「あれはああではなく、こうすればよかった」という反省の思慮を
持つことにもなります。それが進歩であり前進であり向上というものです。
失敗や不運を自分に引き寄せて考えることを続けた人間と、他のせいにして済ますことを
繰り返してきた人間とでは、かなりの確率で運のよさがだんだん違ってくる、ということです。
露伴はこのことを、運命を引き寄せる二本の紐に譬えて述べています。
一本はザラザラゴツゴツした針金のような紐で、それを引くと掌は切れ、
指は傷つき、血が滲みます。それでも引き続けると、大きな運がやってきます。
だが、手触りが絹のように心地いい紐を引っ張っていると、
引き寄せられてくるのは不運であるというわけです。
幸運不運は気まぐれや偶然のものではありません。
自分のあり方で引き寄せるものなのです。
「失敗をしたら必ず自分のせいにせよ」
露伴の説くシンプルなこのひと言は、人生を後悔しないための何よりの要訣です。

私も宿命は変えられなくても運命は心掛け次第で変えられると考えております。




3.独創力を発揮するための三大条件・・・糸川英夫の教え

  的川泰宣 宇宙航空研究開発機構(JAXA)名誉教授・技術参与

 糸川英夫先生はよく「独創力」の大切さについて話されていましたが、一般向けに行われた講演会でこんなことがありました。
先生は、幼い男の子を抱いて前の席で座っているお母さんに
「その子を独創力のある子に育てたいと思いますか?」と聞かれました。
「もちろん」と答えたお母さんに、「そのためにあなたはどう育てるつもりですか?」と聞くと、
そのお母さんは「独創力を発揮するには自由でなければいけないから、
この子がやりたいと思ったことは何でもやらせます」と答えました。
先生は天井を見てしばらく考えていましたが「あなたは数年すると、
絶望するでしょうな」と言われたんです。「何でも好きにやって独創力がつくのなら
チンパンジーには皆、独創力がある」と。
先生が続けて言われるには「人間には意志というものがあって、
自分はこれをやりたい、という思いにどこまでも固執しなければならない」と。
いったんやりたいと思ったことは、絶対にやり遂げるという気持ちがなければ、
やっぱり何もできません。一度決心したことは、石にしがみついいてでもやり遂げる
強い意志が必要だ、と第一に言われました。

第二には、過去にどんな人がいて、何をやったかを徹底的に学習しないとダメだ、と。
アインシュタインは、ニュートンのことを徹底的に学習して、ニュートンが考えることは
すべてわかるという状態にまでなった。そうやって初めて、ニュートンの分からないことが
分かるようになったんです。
だから過去の人がやったことを決して馬鹿にしてはいけない。これまで先人が残した
考えの上に乗っかって、初めて新しいことが生まれる。
だから、徹底的に勉強しなきゃいけないと言われました。

第三は、少し意外だったんですが、自分が何か独創力のある凄い仕事をしたと思っていても、
世の中が認めなければそのまま埋もれてしまうことになる。世に認められるためには、
他の人とのネットワークをしっかり築いてよい関係をつくっておくことが大事ですと。
先生はその後、「私は独創力と縁のないことを言ってるようにきこえるかもしれないけれど、
世の中の独創力はそうやってできているんですよ」と話された。
先生はまさしくそれを貫かれたと思うんですね。同時代の人がやっていることを真似るようなことは
決してしないけれども、過去のことは非常によく勉強されていますよ。
糸川先生は、誰も考えなかったことを考えるのが大好きなんですよね。
でもその基盤には、自分が正当に継がなきゃいけないものを、物凄くしっかり勉強している
ということがあるわけです。その上に立って、初めて独創力が生まれてくるんだなということは、
先生を見ていてよく感じました。


一、強い意志を持ち
二、過去を徹底的に勉強し
三、世の中に認められるためには他の人とのネットワークがあって初めて独創力が生まれるのですね!



『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
藤尾秀昭 監: 致知出版社 より