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「心の養生・食の養生・気の養生」 帯津 良一

20.07.22

西洋医学だけでなく、さまざまな療法で癌に立ち向かい、人間をまるごと
とらえる「ホリスティック医学」を提唱し、長年にわたって養生法の実践を
説いてきた帯津良一先生のお話を紹介させていただきます。

『私は生命場を高めるには三つの要素が必要だと考えます。
「心の養生」「食の養生」「気の養生」です。

「心の養生」は一言でいえば、
常に向上心を持って取り組んでいくことです。
どこまでも生命のエネルギーを高め続けることです。
ただ、ここで念を押しておきたいのは、いわゆる「明るく前向き」
という言葉についてです。

意外でしょうが、実は明るく前向きな人ほど、エネルギーを失いやすいのです。
私も最初は人間は明るく前向きなのがよいと思っていました。
そのために開業当初、患者さんを明るく前向きにする心理療法チームを
立ち上げたりもしましたが、ある時気づかされました。

明るく前向きな人が経過がいいのではなく、
経過がいいから明るく前向きになれるのだ、と。
経過が思わしくなければ、奈落の底に落ちて立ち直れなくなる人が
多いのです。では、どうしたらいいのか。

私は多くの人を観察する中で、人間は本来哀しくて寂しい存在であり、
明るく前向きにだけでは生きていけないと考えるに至りました。

元気な状態でも常に悲しみや不安が襲ってきます。
ましてや重病ともなれば尚更でしょう。

作家の水上勉さんは、
「我々は虚空より来たりて虚空へ帰る孤独な旅人である」
とおっしゃっていますが、まさにそのとおりだと思います。

人間は悲しく寂しい存在という考え方にどっしり腰を下ろした時、
「人間は所詮はそういうものなのだ」という一種の安心感が生まれます。
それが分ると、日々のちょっとした出来事にも「ときめき」を感じるようになります。

カツ丼が好きな人なら、カツ丼を食べることでもいいでしょう。
異性を見てときめく人がいるかもしれません。
よい本や言葉に触れて発憤する人がいます。
そんな小さなことでもいいのです。

「ときめき」という希望の種を播いていれば、心は自然と明るく前向きになります。
この前向きは悲しみや寂しさから出発していますから、たとえ壁にぶつかっても
いつまでも落ち込むことはありません。

悲しみ → 希望 → ときめき → 明るく前向き →
悲しみ → 希望 → ときめき → 明るく前向き・・・・・

この循環を繰り返す中で、「死後の世界」に向かって生命場のエネルギーは
高まっていくのです。

次に「食の養生」です。

食の養生というと、どうしても食事制限や
玄米菜食という言葉を連想します。

もちろん、それも大切なことだと思います。
しかし、ステーキが食べたいと思った時には思い切って食べて
自然治癒力を高め、翌日には玄米菜食に戻るといった
「攻めの養生」も大切なのではないでしょうか。

私は、大地のエネルギーを含んだ旬のもの、地場のものを食べること、
好きなものをときめきながら少量食べることは、とてもいいと考えています。
ちなみに、私はお酒も養生という持論があって、晩酌は欠かしません。

三つ目の「気の養生」 

これは、大宇宙の気を体に取り入れることです。
気功、ヨガ、神道の呼吸法など自分に合った健康法を
実践していただきたいものだと思います。』

---------------------------- 月刊「致知」2010年3月号より ----------------




いかがでしたでしょうか。私は
「心の養生」の
”人間は本来哀しくて寂しい存在であり、明るく前向きにだけでは生きていけないと考え”
という水上勉さんの言葉に共鳴いたしました。
「食の養生」は玄米菜食も良いですが、それよりも大切な事は食を含め
身体に悪いことをやめる事の方がもっと大切だと考えています。
「気の養生」は私の恩師、矢山利彦先生から教わった気功法と
朝の散歩の時に村田一吉先生の”立禅ウォーキング」を実践しております。

最後に、「週刊朝日」の帯津良一先生の”老化に身を任せながらよりよく老いる
「ナイス・エイジング」を紹介させていただきます。

「マスクについて」 [呼吸]ポイント
(1)外でみんながマスクをしているのが不思議
(2)マスクで自然な呼吸ができないと免疫力が低下
(3)マスクをするしないをしっかり判断すべき

厚生労働省によると、いわゆる”3密”は
「換気の悪い空間」
「多数が集まる密集場所」
「間近で会話や発声をする密接場面」のこと。
戸外でまばらに歩いている限りは、3密の状態ではまったくありません。
それなのに、なぜマスクをしているのでしょうか。

マスクを外すと実に気持ちがいいですね。思わず呼吸法を3回ほど
繰り返しました。白隠禅師が教えるところの「内観の法」です。
息を吐くときに、臍下丹田(せいかたんでん)、腰脚足心に気を
みなぎらせていくのです。
こういう呼吸はマスクをしたままではできないですね。
マスクをすると、体、心、命を整えるための自然な呼吸が
できないのではないでしょうか。
それは知らないうちに免疫力の低下を引き起こします。
厚生省も熱中症予防の観点から
「屋外で人と2メートル以上離れている時には、マスクをはずしましょう」
と呼びかけています。

マスクをすれば安心と思い込むのではなく、マスクをするしないを
時と場合によって各自がしっかり判断すべきです。