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仕事と人生に生かすドラッカーの教え・・・・・月刊『致知』より

19.06.04

ピーター・ドラッカーの説く「貢献」の意味を考えてみたいと思います。

・・・自由とは責任を伴った選択・・・

自由に仕事をしたいなら、責任を持つべし。
マネジメントを習得したものが至る一つの到達点です。

「自由とは解放ではない。責任である。楽しいどころか一人ひとりの人間にとって重い負担である。
それは、自らの行為、および社会の行為について自ら意思決定を行うことである。
そして、それらの意思決定に責任を負うことである。」『産業人の未来』

自由とは、何かに拘束されないという意味ではありません。
何かを信じ、何かを行う選択の可能性があるということです。
そう考えると指示や命令だけの仕事には、自由があるとはいえません。
選択の自由がなければ責任も生じないことになります。
自ら決定したことだからこそ責任と覚悟が生まれます。
ドラッカーが組織で働く者にとって意思決定は特別の扱いを受けるに値する、
と述べたのはこのためです。


・・・成果をあげるためなすべき貢献を問う・・・

「貢献」と聞くと社会貢献という意味を思い浮かべる人も多いと思います。
結果としてそこに通じるのですが、ドラッカーが用いた「貢献」とは、
組織が成果をあげるために一人ひとりが組織の中で、
「どのような貢献をなすべきか」と考えることです。

具体的には、上司、部下、同僚に対して次のように聞く事です。
「あなたが組織に貢献するためには、私はあなたにどのような貢献をしなければならないか」
「いつ、どのように、どのような形で貢献しなければならないか」『経営者の条件』

組織が手にする一つの成果は、多くの人の貢献がつながって実現するものです。
ちなみにドラッカーの「成果」は、組織が手にするものではなく、外の世界における変化を意味します。
端的に言うと顧客にどのような変化があるかということです。
たとえば、学習塾の成果は成績が上がることであり、治療院は痛みが軽減する事です。

どんな業種でも顧客に何の変化も起きなければやがて顧客はいなくなるでしょう。
顧客満足、という言葉が用いられることがありますが、その満足の中身が重要です。
「顧客にとっての価値は何か」や「われわれの成果は何か」を組織に属する人が共有して
はじめてその組織の「成すべき貢献」が決まります。
つまり、組織が一定の方向を示すことではじめて「成すべき貢献」を決めることができるのです。
こうして主体的に仕事をする組織の土台が形成されます。

「成すべき貢献」とは、自分勝手には決められません。
貢献の先に常に顧客がいるからです。
つまり、「なすべきこと」を「できること」に変えていくことが自己開発です。
仕事においては、顧客の存在抜きに「やりたいこと」が先行することはありません。

目の前の「なすべきこと」は、いろいろな縁の中でたまたま自分がさせてもらっているのです。
目の前のなすべき貢献、すなわち仕事をさせてもらっていることに感謝し、さらに自分を磨き高める
努力を続けることです。「やりたいこと」は、任された場で全力を尽くし、
その場を高めたその先に見えてくるものです。


・・・今いる場を高めるために貢献を問う・・・
「なすべき貢献は何であるかという問いに答えを出すには、三つの要素を考える必要がある。
第一は、状況が何を求めているかである。
第二は、自己の強み、仕事の仕方、価値観からして、いかにして最大の貢献をなしうるかである。
第三は、世の中を変えるためには、いかなる成果を具体的に上げるべきかである」
『P.F.ドラッカー経営論』

「貢献」は、個人と組織を結ぶ唯一の道具です。
組織の問題や課題の多くは、「貢献」という道具の不全によるものです。
正しく用いた場合の効果は予想以上です。
「貢献に焦点を合わせることによって、コミュニケーション、チームワーク、自己開発、
人材育成という成果を上げるうえで必要な四つの基本的な能力を身に着けることができる」
『経営者の条件』

自己開発と人材育成は、硬貨の裏表です。「なすべきこと」を明らかにして、「できること」に
変えていくこと。それが自己開発であり、人材育成のポイントです。

あなたの貢献は、顧客を通して世のためになり、一緒に働く人の貢献につながることで
人のためになっています。
あなたが今いる場を髙めるために「なすべき貢献は何か」を常に自問したいものです。


当社の「貢献」は何かを全社員とベクトルを合わせていくことの大切さを改めて噛み締めています。