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「大乗佛教の発生と変遷」から宗教を考える

18.12.12

年2回、13年間続いている澤田先生の合宿セミナーが
那智勝浦で開催され、出席させていただきました。
今回のテーマは「大乗仏教の発生と変遷」でしたので、
日本の宗教の割合を調べてみました。

文化庁の統計調査によりますと、神道系(9,216万人・48%)、
佛教系(8,712万人・46%)、キリスト教系(195万人・1%)、
その他、イスラムなど(897万人・5%)だそうですが、
これらの数字を合計しますと、総人口の約1.5倍になりますから
あくまで推計ですが、佛教系が一番でなかったのが意外でした。

15年5月の「本日の視点」で浄土宗・浄土真宗・時宗・日蓮宗・
曹洞宗・臨済宗など各宗派の教えの基本の違いをお伝えしましたが、
これら日本の佛教はすべて大乗佛教で、釈尊の説えた初期佛教からの
変遷の歴史と史実に基づき、澤田先生に下記の項目ごとに、とても
論理的かつ明確に解説していただきました。

◇社会的立場:在家か出家か?
◇最終的目標:阿羅漢か佛陀か?
◇修行と善行:何の役に立つのか?
◇本尊は誰か:釈尊ではないのか?

結論から言えば釈尊の説かれた初期佛教と紀元前後に生まれた大乗佛教は全く別の宗教です。

♦ 人生観と宗教の役割
人生観とは無限の時の流れの中で人生という有限の時間をどう生きるか、
それに対して各人が自分なりに納得でき、安心して生きられる何らかの解答を与える文化活動が≪宗教≫

♦ 宗教と人生
① 宗教が人を幸せにするのではなく、人が自分を幸せにする
② 宗教は「国の宗教」「家の宗教」といった縛りで考えるものではなく、あくまで「個人の理解」
の上にあるものである。
③ 自分の人生がどんな意味を持つかを知ることは、この人生を安心して豊かに幸せに生きることにつながる。

♦ 有限世界で無限を考える
この世は有限 全てに始まりがあり、終わりがある。
---私・人類・地球・太陽系・銀河宇宙---
神佛の世界は無限
 佛教:法(ダルマ)は永遠の法則
 神の国では永遠の生命を得る
 永遠性・無限性を説かない宗教はない
宗教とは無限を考えること

♦ 魂とは何か?
魂には自我がある。自我があれば
自己に対する執着(我執・煩悩障)があり、
物に対する執着(法執・所知障)があり、
とても涅槃や菩薩どころではない。

だから六道に輪廻する。
   ⇓
今世の身体にも自我があるが、その身体は魂によって導き作られたもの。
   ⇓
佛教で過去性の蓄積(業)と言い、アカシヤで魂と呼ぶものは何か?

阿頼耶識



♦ 阿頼耶識縁起

種子生現行 現行薫種子
三法展転 因果同時


種子(ショウジ)・・・・・・・過去の行為の事跡
現行(ゲンギョウ)・・・・・・現在の心の動き
三法展転(サンポウテンテン)・三つの方が因となり果となる
因果同時(インガドウジ)・・・それが時間的に同時である


♦ 阿頼耶識の意義
今の思いと行為が自分の本質を規定し、自分の未来を決定する。

♦ 澤田先生の(現在の)私の理解(=悟り)
1.現実だと思っている世界とは、異なる世界が、今、ここに、同時に実在する。
2.異なる世界と現実世界を繋いでいる通路・水先案内人が存在する。
3.我々は皆、死後、その異なる世界に移動し、霊として存在し続ける。

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わが一生
わが生命にあらずして
全ての神佛の支配する世界
神に感謝
み佛に感謝

いただきます・・・・・・と結ばれました。

延べ4時間に亘るご講義の中で、私の心に強く残った部分を紹介させていただきました。



翌日は澤田先生の案内で、世界遺産の補陀洛山寺、熊野古道、那智大社と那智の大滝を巡らせていただきました。





補陀洛渡海とは、生きながら補陀洛浄土をめざして行われた
一種の捨て身行で、写真のような船で、平安から江戸時代まで
20数回にわたり那智の海岸から補陀洛寺の僧たちが
死の渡海をしたそうです。








お寺の裏山には、渡海した僧のお墓がありました。
(遺骨はありません。)
墓地の形が船の形なのには、皆さん感慨深げでした。