NHKスペシャル 腰痛・治療革命
15.08.25
NHKスペシャル 腰痛・治療革命
上記番組をご覧になられた方も多いかとは思いますが、番組の内容を紹介させていただきます。
現在、日本人の4人に1人、約2800万人が腰痛だそうです。
腰痛の最新の治療法として、
痛みの部位(筋肉の一部が癒着したコリ)を超音波診断で見つけてピンポイントで注射すると
みるみるうちに癒着した筋肉が剥がれていき、コリがほぐれて痛みが取れる様子や、
椎間板ヘルニアが日帰りの内視鏡手術で治せる事例が紹介されていました。
しかし半面、厚生省の研究班の調査では、腰痛の半数の方が治療をしても効果が無く、また原因もわからないそうです。
長引く腰痛が3ヶ月以上続くと慢性腰痛と言われます。
カナダのマギル大学で慢性腰痛の原因を徹底的に調べた結果、脳の背外側前頭(DLPFC)の機能の衰えが関係していることが
判明しました。
腰に限らず痛みは神経を介して脳へと伝えられます。
DLPFCは、脳の痛みの回路の興奮を鎮める指令を出します。
DLPFCの働きが弱いと興奮を鎮めることが出来ず痛みが続いたまま、いわゆる幻の痛みを感じることになるのです。
痛みへの恐怖や不安がストレスとなってDLPFCの活動が衰えることが考えられるそうです。
DLPFCの衰えの原因、「恐怖」「不安」を克服するために、東京大学医学部附属病院の准教授、松平浩先生が
提唱されたのは以下の方法です。
① 腰痛への対策法をテーマにした映像を見ることで、腰痛への無用の不安を取り除く。
② 背中を反らせても痛みが無いことを脳に繰り返し伝えることで恐怖を解消する。
(一回3秒、背を反らす姿勢をとる)
175名の方の実験の結果では、
① 映像を見てもらっただけで、68名、38%の方が改善されました。
② ①では改善のなかった70名の方に②の姿勢を毎日していただくと、2週間ほどで約半数の方が改善されたそうです。
では、上記では改善されなかった人はどのように克服したらよいのでしょうか?
オーストラリア・シドニー大学の痛みの管理研究所では3週間ほど心理療法(カウンセリング)と、
恐怖をやわらげる運動(鍛えるのではなく)の2つを組み合わせた認知行動療法によって
大きな成果を上げています。
日本でも「腰痛治療ガイドライン2012」で慢性腰痛の治療法として、認知行動療法がグレードA(強く推奨できる)に
認められていますが、保険適用されていないため、まだ普及していません。
今後、腰痛に限らず慢性疼痛で苦しんでいる人々日はDLPFCがキーワードとなるのではないでしょうか?
当社もDLPFCの活性化の研究に取り組んでいきたいと思います。
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