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童謡「むすんで ひらいて」

16.01.22

「むすんで ひらいて」は、明治14年に「小学唱歌集」でひろく日本に発表されました。
このメロディーを聴くと幼いころの思い出が鮮明に蘇ってくる方も多いと思います。

ウィキペディアによりますと、作曲家はフランスの思想家ジャン=ジャック・ルソーですが、
作詞家は不詳だそうです。
「むすんで ひらいて」の歌詞は、日本人の心の中に深く刻まれていると思います。

この歌詞についての考察が金光教 木津教会誌「和賀心」で述べられていますので、
ご紹介させていただきます。

「むすんで ひらいて てをうって むすんで
またひらいて てをうって そのてを うえに
むすんで ひらいて てをうって むすんで」

まず、「むすんで」とは、”結び”です。
人との出逢いやあらゆる出来事はすべて”結び”なのです。
人は縁あって他人と出会い、様々なことを経験します。
そのひとつひとつの出会いや経験から人は成長するのです。

次に、「ひらいて」とは、”解き(ほどき)”です。
他人と出会えば必ず別れがあります。
この別れが”解き”です。また、これがモノや出来事であれば「執着しない」または
「手放す」ということを意味します。この”解き”からも人は様々なことを
学びます。”結び”が学びならば”解き”もまた学びなのです。

そして、「てをうって」とは、”理解”です。
人は「なるほど!」と思った時、思わず手をうちますよね。
それに、もう一つ意味があります。それは「感謝」です。
つまり”結び”と”解き”から得た学びを理解し、納得し、感謝する。
そうすることで、また次の新しい”結び”へとつなげていくことが出来るのです。

さらには、「そのてをうえに」ですが、ある人との出会いやある出来事から
何を学べばいいのか分からない時があります。
または、どうしていいのか分からない時もあります。
その時は「その手を上に」して天を仰ぎ、神様にゆだねるのです。

ときには「その手を頭に」置いて、理性で考えることも大切です。
ときには「その手を胸に」当てて、自分の素直な気持ちに聞いてみるのもいいでしょう。
さらには「その手をお腹に」当てて、自分の腹の底、本心はどうなのかと問うてみると
答えが出るかもしれません。

それでも答えが得られないのであれば、「その手を上に」して天を仰ぎ、
神様にその判断をゆだねてお任せするのです。つまり「人事を尽くして天命を待つ」
ということです。こうして人は何度も「むすんで ひらいて」学びを深め、成長していくのです。

”結び”も”解き”もそれぞれ学びですから、「良い・悪い」はありません。
人は、”結ぶ”ことでしか学べないこともあれば、”解く”ことでしか学べないこともあります。

たとえば、一般論でいえば「結婚」は幸せなことで、「離婚」は不幸せなことですが、
神様の視点で見れば両方とも学びです。
離婚もそれを学びに変えれば新たな”結び”につながるので、幸せなことととらえることも出来ます。

さらに言えば「結婚しない」ことでさえ”結び”です。
結婚しないことでしか見えないものもあります。
もしあなたが結婚したくても出来ないのであれば、それはまだ学びの途中なのかもしれません。

そうしたものを手放した時、必ず新たな”結び”が現れるのです。

”結び”と”解き”のように、この世界は相対的なことで成り立っています。
「善・悪」「損・得」「幸・不幸」というのも実は自分の見方によるものです。

その自分の見ている世界というのは、自分の価値観や好き嫌いで判断していますから
自分の見たいものを見たいようにしか見ていないのです。
たとえば、幸・不幸にしても片方の立場に立ってみればもう片方は見えていない。
つまり、物事の半分だけしか見ていないということになります。全体を見ていないのです。

神様は、右も左も上も下もすべてひと目に見通しておられるのです。
そういう神様の目で見たら「すべてはあってある」姿なのです。
つまりあるがままで価値を持ち、存在し、その存在自体が神様のお働きなのです。

そこで、人間にとって必要なのは全てを感謝するということです。
「ありがたいこと」に感謝して、「ありがたくないこと」にも感謝する。
嫌なことや辛いことに「無理にでも感謝しなさい」ということではありません。

「感謝できないこと」は「感謝できないこと」として受け止めるのです。
受け止めたうえで手放すのです。そして「感謝出来ないこと」からも何かを学び
「感謝出来ること」に変えていくのです。それがすべてを感謝するということです。


すべてが「神様のおかげ」と見た時、あなたに起こった出来事の一つ一つが意味を持ちます。
そして一つとして無駄なことなどなかったことが分かります。
(神様=サムシング グレート)

私も今年、古希を迎えます。
まだまだ不安・心配の種はつきませんが「むすんで ひらいて」の歌の意味を考えると
頭の中のモヤモヤや、胸の中のざわめきが薄らいで腹に落ち、とてもすっきりとした
穏やかな気持ちになれます。

皆様も童心に帰って「むすんで ひらいて」を口ずさんでみて下さい。